稲鍼会会員の皆様、鍼灸臨床を通してご活躍されていることと思います。
ご存じの方もいるかも知れませんが、新卒業生国家試験合格率100%の連続記録は、残念ながら、5年連続でストップしてしまいました。しかし、2年以上連続して100%を出している学校が他に無い以上、これは本校の立派な業績であると信じています。第11回の国家試験以後、東洋医療国家試験財団が各校の受験者数と合格者数を公にしていますので、間違いない数字です。また、最新の第15回国家試験で合格率100%を出した学校は、3校程度でしたが、受験者数が約30名、約20名、1桁という新設校ばかりでした。冗談では無く、新設校の中には3年生になると実技科目が無くなってしまい!?、1年間国家試験の予備校になってしまうところもあるそうです。本校は、国家試験の予備校には決してならず、質の高い教育を続けて結果を出していきます。
本校の教育効果とは何でしょうか?それは学校法人レベル、教員レベル、学生レベルでそれぞれ努力されています。
久住校長先生は、学生に一流の人間の話を聴かせることが大切だとお考えになっていて、昨年は寄生虫の研究で有名な藤田紘一郎先生を、本校主幹で行われた第28回学術大会の講演者にお招きしました。この先生の話は面白い!私の授業の100倍は面白いです。私も以前、「好酸球は寄生虫に対する免疫に関わっていたが、寄生虫が少なくなってT型アレルギーが増加した」などと、この先生の話を知ったかぶりして引用していましたが、まさか早稲田医療学園の同僚になるとは思ってもいませんでした!(藤田先生は、人間総合科学大学の教授に就任されました。)
また、日本でノーベル賞候補に挙げられるならこの人という、生命倫理の大家である青木清先生の講演会も昨年開かれました。
今年はついに、ドイツからあのロバート・F・シュミット先生が、早稲田医療専門学校学生だけのために、特別講演を行ってくれました。これは、人間総合科学大学前学部長の故佐藤昭夫先生、人間総合科学大学現学科長の佐藤優子先生が、シュミット先生と一緒に研究をしていたことによります。皆さんが学生時代に熟読した生理学の教科書の著者は佐藤夫妻であり、シュミット先生の研究がたくさん引用されています。この3人の生理学者がいなければ、鍼治療は単なる不思議なものであって、医学には成り得なかったのです。ちなみに「シュミットの生理学」という教科書は1980年代以後、世界中に翻訳されて、世界の医学生の生理学のスタンダードになっています。私は学生に、生理学の世界のマイケル・ジャクソンと紹介しました。(悪のりしすぎでしょうか?)幸い、学生達からのの質疑応答は30分以上続き!(国際生理学会のシンポジウム並み)、シュミット先生は、とても感銘を受けられたそうです。
こんな経験は早稲田医療専門学校生しか経験できません。卒業生の皆さんの中にも、UCLAロングビーチ校の先生方の講演などを聴いた経験をお持ちの方もいらっしゃると思います。
教育現場では、コミュニケーション能力の向上と臨床能力の向上を主眼においています。臨床家の皆さんは、患者さんがリピーターになってくれるのは、良いコミュニケーションが取れている時であることを、肌で感じていらっしゃると思います。それは学校でも教えることができます。理論的にも体験的にも。1年生の臨床入門という科目では、医療面接を中心にして、初学者にコミュニケーションの大切さを教えています。本校の学生は、1年生の時には無口でも、2年生になると何らかの意見を言えるようになります。それから学生たちは、一人では勉強することはせず、必ずグループで勉強しています。医学の勉強は、一人ですると莫大な量になってしまいますが、集団で行うと効率が良くなることに気づいています。それは教員たちがそのように1年生のオリエンテーションの時から指導しているためです。グループ学習を勧めてから、国家試験の合格率が良くなったことは、第10回以降の国家試験受験者は、良くご存じのことと思います。
今年から、臨床実習を全学年に行っています。1年生なりに、2年生なりに患者と接することで、感じるものがあるようです。1年生は服装に気を使いながら、緊張して受け付けに座っています。また3年生は、臨床実習以外に臨床演習を行っています。いくつかの治療院に分かれて、模擬患者の医療面接・診察・治療計画を行いますが、最初の頃は「臨床ごっこ」と陰口を叩かれたこの授業も、実際に卒業してみると、真面目に取り組んでいた学生の方が、たとえ座学の成績が悪くても臨床家としては使い物になっている現実があり、すっかり看板授業の一つになりました。
本校の学生達の素晴らしさは言うまでもありません。最近、東洋療法学校協会第29回学術大会に、学生達と一緒に大阪まで行って来ましたが、スーツをバリッと着て演者に敬意を表する態度で発表を聴く態度は、本校学生の特徴です。他校の学生のゆるい感じを見ていると、鍼灸業界の将来が思いやられると同時に、早稲田の学生達を誇らずにいられません。
今年初めて行った就職説明会に参加された、いくつかの治療院の先生方からは、「早稲田の3年生は、修羅場をくぐってきた迫力を感じます。」との感想を頂きました?!。そりゃ国家試験前に、修羅場をくぐらせてるよな、と密かに思いました。治療院経営の諸先輩方、是非、来年の就職説明会に参加してみてください。使い物になりそうな、元気な3年生たちが揃ってます。
最後に、私事ですが、3月23日と9月28日に行われた、私のロック・バンドSUZUKIのライブに来て頂いた卒業生の皆様に感謝します。次回は、来年3月16日(日)に新大久保のライブハウス・HOT SHOTで行います。是非、同窓会を兼ねて、皆様お誘い合わせの上、怖い物見たさで来て見てください。(そうだ!6月の稲鍼会総会の日にもやってみよう。)
この雑文を最後までお読み頂いた皆様に、感謝申し上げるとともに、皆様のお知り合いの方を、是非、早稲田医療専門学校にご紹介ください。一期一会のつもりで教育させて頂きたいと、心から思っています。よろしくお願い申し上げます。
私のメール・アドレスは、moriosuzuk@aol.comです。
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